相続税法、2017年税制改正で5年ルールの廃止~海外移住による税金逃れ~
2016年12月14日
2017年税制改正で相続税に関する改正内容が一際、注目を浴びている。現行では相続によって財産をあげる人(被相続人)と貰う人(相続人)の両者が、5年以上海外に住んでおり、日本に居住を持たない場合、「海外にある資産」については日本の相続税・贈与税の制度は適用されない。これは「5年ルール」と呼ばれている。
今回話題になっているのは、この期間を10年まで延長させるという内容だ。相続税法を改正する背景には「富裕層の税金逃れ」がある。
日本では相続税・贈与税ともに最高税率は55%となっているが、オーストラリアやシンガポールは相続税がかからない。また前述の通り5年以上海外に住んでおり、日本に住んでいなければ相続税については居住国(海外)の税法が適用されるため、5年ルールを逆手にとってシンガポールなどに移住する富裕層が後を絶たない。
こうした富裕層による税金逃れを防ぐために、相続税法の改正後は居住年数を5年から10年に引き上げるようだ。2017年税制改正はタワーマンション増税なども含め、富裕層にとって悩ましい改正になっている。