戸籍収集と遺産分割協議書
ここでは、遺産分割協議書に関する内容をご説明致します。
戸籍の収集が、必要となるのは、正確な相続人が誰かを証明するためです。
「自分の家のことなのだから分かりきっていることなのに…。」 そう思われるかもしれませんが、最終的に各財産の名義変更を行う場面では法務局(不動産)や、金融機関(預貯金や株式)、保険会社(生命保険)等、第三者が関係することになります。
戸籍収集は、そのときに親族関係をしっかりと証明するために必要不可欠なんです!
遺産分割協議書は、「誰が」、「何を」、「どのくらい」相続をするのかを明確にして、最終的に相続財産の名義変更をするために必要な書面となります。
ときどき、正式に遺産分割協議書を作らなくても良いと、いい加減なことを書いている書籍を目にしますが、とんでもありません!
100万円の自動車を購入するにも、正式な契約書を作成するのに、何千万となる相続財産を受け取る取り決めをするのに、正式な書面を残さなくていいはずがありません!
相続トラブルが多いのはこういう点にも、原因があるのかもしれませんね。キッチリとみていきましょう。
相続は、法律で協議分割を前提としていますので、遺産分割協議書は相続人全員の合意をもとに作成する必要があります。 遺産分割には、現物分割、代償分割、換価分割の大きく3つの方法があります。
法定相続の場合でも、そうではない場合でも、この3つの方法が遺産分割の基本になりますので、ご参考ください。
現物分割
現物分割とは、1つ1つの財産を誰が取得するのか決める方法です。
遺産分割で一番多いのがこの現物分割です。
例えば親の住んでいた大阪の土地・建物は、長男が相続する。
親の所有していた東京の土地・建物は次男が相続する。
預貯金は、長女が相続するといった具合に分ける方法です。
つまりは、遺産そのものを現物でわける方法です。
この現物分割で相続していく場合、各相続人の相続分をきっちり分けるのは難しいため、次にご紹介する代償分割などで補完します。
代償分割
特定の相続人が、特定の財産(現物)を相続する代わりに、他の相続人に金銭などを与える方法が代償分割となります。
これは、事例をもとにお伝えさせていただいた方が分かりやすいと思います。
例えば、「長男が親の会社の資産(遺産)の株式や店舗(土地・建物)を相続し、その代わりに、長男が次男に代償金(3,000万円)を支払う」といった具合です。
会社を、単純に法定相続分に応じて分割してしまうと、親のやってきた会社 の貸借対照表が狂ってしまい、倒産しかねません。
ですから、親の事業を承継するためにも、上記のような方法を取る事も現実的には多く見受けられます。
換価分割
換価分割とは、不動産などの遺産を売却してお金に代えた上で、その金銭を分ける方法です。
土地を分割すると、価値が下がる場合などは、こうした方法を取る事があります。
こうした場合は、遺産を処分することになりますので、処分費用や譲渡取得税などを考慮する必要があります。