”日本のシンドラー”杉原千畝の妻が作成した遺言書は「有効」か?
2017年07月14日
2017年6月、杉原千畝の妻である杉原幸子が作成した遺言書の有効性を争った判決が東京高裁で下された。
杉原幸子は遺言書を2つ作成しており、2001年4月に作成された第一遺言書では「次男に遺産を相続させる」旨が書かれていた。その後、2001年12月に作成された第二遺言書では「長男の妻を遺言執行人に定め、遺産は長男の子2人に相続させる」旨が書かれていた。
遺言書はルールに則って、正しく書かれていれば「後から作成されたもの」が適用される。
しかし、第二遺言書を作成した2001年12月当時の杉原幸子氏は体調不良によりせん妄症状(意識障害・幻想・幻聴)がでることもあり、入院中であった。尚且つ、第二遺言書は長男の妻が杉原幸子氏を誘導して作成されたものである、と四男が遺言書無効の訴えを起こした。
争点は杉原幸子氏の意思判断能力となり、第一審で東京地裁は「無効」との判断を下した。しかし高裁では、医学的根拠が乏しいことや、2001年12月以降の杉原幸子氏の講演活動の実績から「判断能力があった」とみなし、「第二遺言書は有効」という判決がでた。
◆杉原千畝とは
第二次世界大戦中にリトアニア領事代理だった杉原千畝は、カウナス日本領事館へ唯一の逃げ道をもとめて押しかけたユダヤ人に対して、日本政府の意見に背きビザを発行した。発行したビザは「命のビザ」と呼ばれ、およそ6000人のユダヤ人を救ったと言われている。
杉原千畝はこの功績からイスラエル政府から日本人で唯一「諸国民の中の正義の人」の称号を授与され、「東洋のシンドラー」「日本のシンドラー」と呼ばれている。